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ID番号 07055
事件名 年次有給休暇請求権確認等請求事件
いわゆる事件名 国際協力事業団事件
争点
事案概要  国際協力事業団青年海外協力隊事務局で雇用期間一年で雇用され、その契約が毎年更新されていた語学講師が、年休を取得したところ、その一部について継続雇用の要件を満たさない、また年休は次年度に繰り越しできないとの理由で欠勤扱いとされたことにつき、不当として争った事例(請求認容)。
参照法条 労働基準法39条1項
労働基準法39条2項
体系項目 年休(民事) / 年休の成立要件 / 継続勤務
年休(民事) / 年休の繰越
裁判年月日 1997年12月1日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成8年 (ワ) 7094 
裁判結果 認容(確定)
出典 タイムズ984号174頁/労働判例729号26頁
審級関係
評釈論文 三浦隆志・平成10年度主要民事判例解説〔判例タイムズ臨時増刊1005〕330~331頁1999年9月
判決理由 〔年休-年休の成立要件-継続勤務〕
 原告X1は昭和六二年四月一日から今日まで、原告X2は平成三年七月八日から退職した平成八年一二月二二日まで、それぞれ途中中断することなく引き続き被告に雇用されていたのであるから、その契約の形式に従って一年の雇用期間の定めのある雇用契約が繰り返し更新されたと見るか、期間の定めのない雇用契約に転化したと見るかはさておき、労働基準法(以下「労基法」という。)三九条の適用の上では、継続勤務したものと解すべく、原告らは各年度ごとに同条二項の規定に基づいて算出される日数の年休が与えられなければならない。
〔年休-年休の繰越〕
 また、当該年度に消化されなかった年休については、当該年度中に権利を行使すべき旨を定めた法令の定めは存しないし、労働者に休息、娯楽及び能力の啓発のための機会を確保し、もって健康で文化的な生活の実現に資するという年休制度の趣旨に照らし、翌年度に繰り越され、時効によって消滅しない限り、翌年度以降も行使できるものと解すべきである。そして、この点でも原告らは継続勤務したものとして、未消化の年休は翌年度に繰越しが認められる。