全 情 報

ID番号 07091
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 和歌山中央卸売市場青果会社セクシュアルハラスメント事件
争点
事案概要  野菜等の卸売り業を営む会社の取締役ら四名が、その会社に臨時雇用され、後に正式採用された女性職員に継続的に「おばん」等と呼び、身体に意に反して触り、性的に露骨な表現を用いてからかうなどのセクシュアルハラスメントを行ったとして、会社及び取締役が右女性職員から損害賠償を請求され、それが認容された事例。
参照法条 民法709条
民法715条
民法719条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / セクシャル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント
裁判年月日 1998年3月11日
裁判所名 和歌山地
裁判形式 判決
事件番号 平成6年 (ワ) 558 
裁判結果 一部認容、一部棄却(控訴)
出典 時報1658号143頁/タイムズ988号239頁
審級関係
評釈論文 鬼塚賢太郎・法令ニュース34巻4号29~31頁1999年4月/小川幸士・私法判例リマークス〔20〕<2000〔上〕>62~65頁2000年2月
判決理由 〔労基法の基本原則-均等待遇-セクシャル・ハラスメント〕
 被告Y1らは、原告に対し、被告会社の営業時間内に、被告会社の営業所内において、継続的に、原告を「おばん、ばばあ、くそばば。」などと侮辱的な呼称で呼び、原告の性器付近、胸、尻等を原告の意に反して何回も触り、性的に露骨な表現を用いてからかい、原告に暴行を働くなどしたもので、これらの被告Y1らの各行為は、原告の人格権を侵害する不法行為を構成することは明らかである。〔中略〕
 被告Y1らの前記不法行為は、その一つ一つは、それぞれ被告Y1ら各個人が原告に対して個別的に行ったものであるが、前述のとおり、本件は、被告会社の営業時間内に、被告会社の営業所内において、継続的、集団的に行われたものであること、被告Y1ら各被告の不法行為の態様が類似していること、その行為の一部については被告Y1らにおいて他の被告ら個人の不法行為の存在を認識しながらなされたと推認されること等を考慮すると、被告Y2の暴行を含めて、被告Y1らの不法行為は客観的に関連共同しているものと認められるから、被告Y1らの共同不法行為と認めるのが相当である。〔中略〕
 被告Y1らは、被告会社の被用者であり、また、被告Y1らの前記不法行為は被告会社の営業時間内に、被告会社の営業所内で行われたものであるから、被告Y1らの職務と密接な関連性があり、被告会社の事業の執行につき行われたものと認めることができる。
 そうすると、被告会社は、民法七一五条に基づき被告Y1らの使用者として不法行為責任を負う。