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ID番号 07150
事件名 従業員地位確認等請求控訴事件
いわゆる事件名 財団法人大阪市交通協力会事件
争点
事案概要  大阪市交通局を女子若年定年制で退職した後、交通局の外郭団体で雇用されていた女性職員が、第一種職員として採用されたにもかかわらず、第一種職員女子につき第二種職員と呼び替える呼称変更の取扱いを行い、第二種職員の定年が満六〇歳であることを理由に職員の身分を失ったものとして取り扱った(第一種職員の定年は満六五歳)のに対して、地位確認の請求を行った事例(一部認容)。
参照法条 労働基準法89条3項
民法90条
男女雇用機会均等法11条
労働基準法93条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 男女別定年制
就業規則(民事) / 就業規則の一方的不利益変更 / 定年制
裁判年月日 1998年7月7日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 平成9年 (ネ) 951 
裁判結果 原判決変更、一部認容、一部棄却(上告)
出典 労働判例742号17頁
審級関係 一審/06934/大阪地/平 9. 3.26/平成7年(ワ)2426号
評釈論文 山本圭子・労働判例757号7~16頁1999年6月1日/小畑史子・労働基準52巻4号24~28頁2000年4月/相澤美智子・労働法律旬報1459号13~19頁1999年7月10日/大内伸哉・民商法雑誌121巻2号110~121頁1999年11月/渡辺章・ジュリスト1184号135~139頁2000年9月1日/渡辺和恵・労働法律旬報1452号18~22頁1999年3月25日
判決理由 〔労基法の基本原則-均等待遇-男女別定年制〕
 呼称変更は、決裁日を基準とすれば、就業規則の改正に先行してなされたものであるが、控訴人ら第一種職員女子の定年年齢が改正予定の就業規則によって満六五歳になることを回避し、第一種職員女子について、第一種職員男子と定年年齢に格差のある従前の定年制を維持、存続する目的で行ったものというべきである。
 (三) ところで、使用者が、就業規則等により、男女間の定年年齢について差を設けることは、これについて合理的な理由がない限り、公序良俗に反する行為として民法九〇条により無効となるというべきである。また、雇用機会均等法一一条一項は、事業主が労働者の定年について労働者が女子であることを理由として男子と差別的取扱いをすることを禁じており、これに違反した就業規則等は同じく無効になると解される。
 これを本件についてみるに、前記のとおり、被控訴人の行った呼称変更は、控訴人ら第一種職員女子について、満六五歳定年制の適用を回避し、第一種職員男子との間に格差を設けた満五五歳定年制を維持しようとした措置といわざるを得ないところ、右定年年齢の一〇年の格差を合理的に説明できるだけの事情は存せず、第一種職員女子を第二種職員に変更する措置は、性別を理由とする合理性のない差別待遇として、民法九〇条及び雇用機会均等法一一条一項により無効というべきである。〔中略〕
〔就業規則-就業規則の一方的不利益変更-定年制〕
 被控訴人は、呼称変更は、実質的には就業規則を不利益に変更する場合と同視できるところ、本件においては、その合理性が認められるから、控訴人はその適用を拒否することは許されないと主張するが、前記のとおり、第一種職員の男女間の定年年齢に格差を設けることに合理性がなく、控訴人ら第一種職員女子について、満六五歳定年制の適用を回避し、第一種職員男子との格差を設けた満五五歳定年制を維持しようとして行われた呼称変更は、民法九〇条、雇用機会均等法一一条一項により無効であるから、就業規則の不利益変更の問題として、その有効、無効を論ずるまでもないというべきである。