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ID番号 07357
事件名 公務外認定処分取消請求事件
いわゆる事件名 地方公務員災害補償基金京都府支部長(桃山養護学校)事件
争点
事案概要  公立養護学校の教員として重症心身障害児の訪問教育業務に従事していた教員が、頚肩腕症候群及び背痛症に罹ったことにつき、公務起因性がないとして公務外認定処分を受け右公務外認定処分の取消しを求めたケースで、業務の内容や過重性、症状の推移、医師の所見等を総合すると、公務起因性が認められるとして請求が認容された事例。
参照法条 地方公務員災害補償法45条
体系項目 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 職業性の疾病
裁判年月日 1999年7月9日
裁判所名 京都地
裁判形式 判決
事件番号 平成7年 (行ウ) 11 
裁判結果 認容(確定)
出典 労働判例773号39頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-職業性の疾病〕
 頚肩腕症候群の発生機序は多種多様であり、その医学的解明が十分なされているとはいえないから、新認定基準をそのまま形式的に当てはめて公務起因性を判断することは相当ではないので、これを参考するにとどめ、以下原告が従事した重症心身障害児教育業務と疾病との関連性、原告の担当した業務の具体的内容・負担の程度等を具体的に検討し、原告の業務と本件疾病との間の相当因果関係の有無を判断することとする。〔中略〕
 養護学校教員の中には頚肩腕症候群や腰痛を発症している者が多いことをも考慮すると、一般的に重症心身障害児教育業務は、上肢等に過度な負担のかかる頚肩腕症候群発症の危険性のある作業を主とするものであると認めるのが相当である。〔中略〕
 原告は、本件職場に配置された約半年後から肩こり等を訴え始め、夏休み等の休業により一時症状は軽減したものの、業務に伴って症状も増悪し、業務が特に厳しくなった昭和五八年度に頚肩腕症候群を発症し、その後の休職により改善しているのであって、右症状と原告の業務による負荷はほぼ対応しており、原告の業務と発症までの経過は医学上妥当なものと認められる。〔中略〕
 原告の従事した重症心身障害児教育業務の内容、原告の担当した業務の過重性、原告の症状の推移とA医師らの所見等を総合すると、原告の従事していた重症心身障害児教育業務と本件疾病の罹患との間に相当因果関係を認めるのが相当である。