全 情 報

ID番号 07499
事件名 配置転換無効確認請求事件
いわゆる事件名 ビューティー事件
争点
事案概要  洗車機、洗浄機の販売営業職(係長営業職)として就労してきたXが、不況等による業績不振を原因とする会社の組織変更に伴い発生した営業職社員の過剰に対応するための一定基準該当者(高年齢者、転勤が困難な者、販売実績が低い者)への解雇予告の実施に伴い、会社から解雇予告がなされたが、退職金の上積みについて話合いがまとまらなかったため、Xの要求に応じて解雇予告が撤回された後、自宅待機命令後、勤務場所の変更を伴わない販売事務職への配転が命じられ、役職は一般事務職となり役職手当が不支給になったため、元の営業職への復帰を要求したが、それには転勤以外に方法がないことから話合いがまとまらなかったため、本件配転命令は権利濫用により無効であるとして、配転命令後の業務に従事すべき義務のないことの確認を請求したケースで、Xは職種を限定して採用されたものではなく、本件配転命令は会社の組織改革に伴い発生した営業職の余剰に対処するために行われたものであり、通常甘受すべき程度を著しくこえる不利益があるとは認められず、権利濫用とはいえないとして、請求が棄却された事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令の根拠
裁判年月日 2000年1月28日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成10年 (ワ) 12846 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1731号16頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令の根拠〕
 使用者は、雇用契約に基き、その範囲内で、労働者に対し、勤務内容や勤務場所の決定等人事権を行使することについて裁量権を有し、この裁量権の行使は、業務上の必要性がない場合、不当な動機、目的を有する場合、あるいは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しくこえる不利益を負わせる場合といった社会通念上著しく妥当性を欠き、権利の濫用と判断される場合でなければ、違法とはならない。
 原告は職種を限定して採用されたものではない(弁論の全趣旨)。本件配転命令は、被告の組織改革に伴い発生した営業職の余剰という事態に対処するために行われたものである。そして被告におけるF/Tの業務は「指導・教育業務」「金銭出納業務」「受注・出荷管理業務」等幅広いものであるところ、F/Tの業務の中には原告の営業職としての経験を活かせるものもある(証拠略)。また本件配転命令により、原告の勤務場所は変更とならず、役職手当一万円及び業務手当三万六〇〇〇円の不支給についても、役職手当については、人事管理業務を行わなくなったことによるものであるうえ、被告においては役職は一年毎に任命されており、恒常的なものではないこと(書証略)、業務手当については、F/Tにおいては残業手当が支給されることに照らせば、通常甘受すべき程度を著しくこえる不利益があるとまでは認められない。