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ID番号 07580
事件名 労災保険不支給処分取消請求上告事件
いわゆる事件名 西宮労基署長・大阪淡路交通事件
争点
事案概要  大型観光バスの運転手X(当時五一歳 高血圧症の基礎疾患あり 裁判中に死亡して妻が本件訴訟を継承)が、午前五時に出勤、午前七時一〇分頃出庫して約一時間後、バス運転中に左手のしびれを感じ、入院、高血圧性脳出血(右視床部出血)と診断され、左半身麻痺の後遺症を残すに至ったことにつき、労災保険法に基づく療養補償給付を請求したところ、労基署長Yから不支給処分されたため、本件発症の前月からのスキーバスの運転に際し、自動車の修理のため長時間激寒の中で作業に従事し、その翌日も疲労がとれないまま早朝から夕方にかけての長時間業務であったこと、一週間前の目的地も寒冷地で点検時等の寒冷曝露の業務であったこと等から、本件発症には業務起因性があるとして、右処分の取消しを請求したケースの上告審で、本件不支給処分を取り消した一審判決と同様、本件発症は、自動車の運転や寒冷曝露などの業務による血圧の上昇の反復が、右基礎疾患に右基礎疾患により生ずる欠陥の脆弱性、脳内小動脈瘤の形成をその自然的増悪の経過を超えて進行させたものと認められるうえ、本件発症時、自動車運転業務中に同業務によりたまたま生じた一過性の血圧上昇を原因として、それまでに形成されていた動脈瘤が破裂して発症に至ったものと認められるとして、Xの高血圧性脳出血の発症とXの業務との間に相当因果関係を認めることができるとした原審の判断は是認することができるとして、Yの上告が棄却された事例。
参照法条 労働者災害補償保険法7条1項1号
労働基準法75条
労働基準法施行規則別表1の2第9号
体系項目 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 脳・心疾患等
裁判年月日 2000年7月17日
裁判所名 最高一小
裁判形式 判決
事件番号 平成10年 (行ツ) 107 
裁判結果 棄却(確定)
出典 労働判例786号14頁
審級関係 控訴審/07065/大阪高/平 9.12.25/平成8年(行コ)48号
評釈論文 山口浩一郎・月刊ろうさい51巻11号4~8頁2000年11月
判決理由 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-脳・心疾患等〕
 所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯することができ、右事実関係の下においては、Xの高血圧性脳出血の発症と同人の業務との間に相当因果関係を認めることができるとした原審の判断は、是認するに足りる。原判決に所論の違法があるとはいえない。論旨は採用することができない。