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ID番号 07689
事件名 戒告処分取消請求上告事件
いわゆる事件名 熊本県教委(市町村立小・中・高校)事件
争点
事案概要  熊本県教職員組合(県教組)及び高等学校教職員組合(県高組)の組合員で、市町村立の小・中学校及び県立学校に勤務する教職員であるXら(上告人二七名)が、同組合が昭和五七年度の人事院勧告及び人事委員会勧告の凍結撤回・完全実施を求めて、勤務開始時から二時間又は勤務時間終了前一時間のストライキを実施(約四五〇〇名の参加)したところ、熊本県教育委員会Yにより地公法三七条一項違反を理由に戒告処分とされたことから、地公法三七条一項は憲法二八条等に違反し、また適用違憲がある等と主張して、右処分の取消を請求したケースの上告審で、最高裁は、一審と同様に、地公法三七条一項の違憲性及び適用違憲の主張を否定したうえで、人事院・県人事委員会の給与勧告を巡る状況、本件ストライキの実施に至った経緯、目的、動機、態様及び影響等の各事情、本件処分の程度(最も軽い戒告に止まる)等を考慮して、本件処分が社会通念上著しく妥当性を欠くものと認めることはできず、裁量権の濫用も認めることができないとして本件戒告処分を適法とした原審の判断を相当として、Xらの上告を棄却した事例。
参照法条 地方公務員法37条1項
日本国憲法28条
地方公務員法29条1項
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 2000年12月15日
裁判所名 最高二小
裁判形式 判決
事件番号 平成11年 (行ツ) 156 
裁判結果 棄却(確定)
出典 労働判例803号5頁
審級関係 控訴審/07629/福岡高/平10.11.20/平成5年(行コ)1号
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 地方公務員法37条1項の規定が憲法28条に違反するものでないことは、当裁判所の判例(最高裁昭和44年(あ)第1275号同51年5月21日大法廷判決・刑集30巻5号1178頁)とするところであり、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は採用することができない。〔中略〕
 原審の適法に確定した事実関係の下においては、本件ストライキの当時、地方公務員の労働基本権の制約に対する代償措置がその本来の機能を失っていたとすることはできないとした原審の判断は是認できる。所論違憲の主張はその前提を欠き、論旨は採用することができない。