全 情 報

ID番号 07702
事件名 地位保全等仮処分命令申立事件
いわゆる事件名 アーバンライフ住宅販売事件
争点
事案概要  不動産売買・仲介等を業とする株式会社で営業担当として勤務していたXが、顧客からXの態度が悪いとの苦情も多く、また上司の注意を受けても全く反省する態度がうかがえないなどのほか、上司の了解を得ずに午前半休を繰り返し、注意を受けると反省しないばかりか、上司を中傷するなどしていたことを理由に、就業規則(勤務成績又は能率が不良で就業に適しないとみられたとき)に基づき、普通解雇されたことから、本件解雇は解雇権濫用により無効であると主張して、雇用契約上の地位の仮の確認及び賃金の仮払いを申立てたケースで、Xの勤務態度は著しく不良であり、就業規則の解雇事由に該当するとしたうえで、Xに評価すべき点があることを考慮しても、Xの態度からすれば、本件解雇が著しく不合理であって社会通念上相当なものとして是認することができないとはいえず、解雇権の濫用にはあたらず有効であるとして、申立てが却下された事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度
裁判年月日 2001年1月12日
裁判所名 神戸地
裁判形式 決定
事件番号 平成12年 (ヨ) 9001 
裁判結果 却下
出典 労経速報1761号17頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕
 前記認定事実によれば、債権者は、平成七、八年ころから、顧客から苦情を受けているところ、Aの件((1)エ〔5〕)は顧客の言いがかりといえるものであるし、Bの件((1)エ〔8〕)は買主の家庭の問題から生じたものであって、債権者の勤務態度の問題ではないといえるが、顧客から債権者の態度が悪いなどとして受けている苦情も多く((1)ア〔2〕、エ〔2〕、〔4〕、〔6〕、(2)ク)、債務者の信用を低下させているものと認められる。しかも、比較的最近に起こしたCの件((1)エ〔6〕)やDの件((2)ク)においては、債権者は、上司の注意を受けても全く反省する態度はうかがえない。
 また、債権者は、上司の了解を得ずに午前半休を繰り返し、これをE課長に注意されると、反省しないばかりか、同人に対し「仕事ができない。上司ではない」などと中傷し((1)ア〔3〕)、緑地公園店配転後は、上司に向かって「スピーカー」と中傷したり、虫扱いする発言をし((2)ウ)、本件配転命令後もE課長が背任行為をした((2)ス)と発言するなど、著しい職場秩序破壊行為を行い、これらに対しても何ら反省するところはないのである。〔中略〕
 さらに、債権者は、上司の指示・命令に従わないこと再三であり((1)ア〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、オ〔3〕、ケ〔1〕、(2)エ、オ、カ、ケ、コ)、自己中心的行動を取る((1)ク〔1〕、〔2〕、〔3〕)など、その勤務態度は職場秩序を維持する意思を基本的に欠いていると言わざるを得ない。〔中略〕
 これら債権者の行状を総合すれば、債権者の勤務態度は著しく不良であり、就業規則六九条八号の「勤務成績または能率が不良で、就業に適しないとみられたとき」に該当するものと認められる。〔中略〕
 債権者に評価すべき点もあることを考慮しても、解雇事由としての職場秩序破壊の程度や本件解雇前に重ねて注意・指導を受けていたにもかかわらず、一向に上司の指示・命令を素直に受け入れず、反省の態度が見られないことからすれば、本件解雇が著しく不合理であって、社会通念上相当なものとして是認することができないとはいえず、解雇権の濫用であるとはいえない。