全 情 報

ID番号 07917
事件名 補助参加申出却下決定に対する抗告事件
いわゆる事件名 レンゴー(差戻審)事件
争点
事案概要  段ボールの製造販売会社Z(抗告人)が、職務内容の変更、配置転換、長時間労働という状況下で汎血管内凝固(傷病経過に影響を及ぼした病名としてくも膜下出血)を直接死因として死亡した従業員Aの遺族X(基本事件原告)が、栃木労働基準監督署長Y(基本事件被告)に対し、労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付及び葬祭料の不支給処分の取消しを請求し、当該訴訟で業務起因性の有無等が争われていたところ、仮に労働災害の認定がなされた場合には、事実上Zの損害賠償義務の存否、労災保険の保険料率に影響が及ぶことから、Zにも利害関係があるとして、ZがYを補助するための補助参加の申出書を提出したケースの差戻審で、Zの工場は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律一二条三項所定の一定規模以上の事業場であると認められるから、Zは、Yが敗訴し労災保険給付の不支給決定の取消判決が確定すると、労災保険給付の支給決定がされて保険給付が行われた結果、次々年度以降の保険料が増額される可能性があると認められるとし、ZはYの本件本案訴訟における敗訴を防ぐことに法律上の利害関係を有するというべきであり、これを補助するために不支給決定の取消訴訟に参加することが許されるとするのが相当であるとし、Zの申出を却下した原決定は相当でないとしてそれが取り消された事例。
参照法条 行政事件訴訟法33条
労働保険の保険料の徴収等に関する法律12条3項
体系項目 労災補償・労災保険 / 審査請求・行政訴訟 / 事業主の訴訟参加
裁判年月日 2002年2月27日
裁判所名 東京高
裁判形式 決定
事件番号 平成13年 (行ス) 26 
裁判結果 認容(原決定取消し)
出典 労働判例820号12頁
審級関係 上告審/07720/最高一小/平13. 2.22/平成12年(行フ)3号
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-審査請求・行政訴訟-事業主の訴訟参加〕
 本件抗告人の小山工場は、徴収法12条3項各号所定の一定規模以上の事業場であると認められるから、本件抗告人は、本件本案訴訟の被告である栃木労働基準監督署長が敗訴し労災保険給付の不支給決定の取消判決が確定すると、行政事件訴訟法33条の定める取消判決の拘束力により労災保険給付の支給決定がされて保険給付が行われ、次々年度以降の保険料が増額される可能性があると認められる。
 4 以上によれば、抗告人は、栃木労働基準監督署長の本件本案訴訟における敗訴を防ぐことに法律上の利害関係を有するというべきであり、これを補助するために労災保険給付の不支給決定の取消訴訟に参加をすることが許されるとするのが相当である。
 そうすると、これと異なり、抗告人の補助参加申出を却下した原決定は相当でないから、取り消されるべきである。