全 情 報

ID番号 07982
事件名 解雇無効確認請求控訴事件
いわゆる事件名 ベニヤ事件
争点
事案概要  紳士用品の販売等を目的とする株式会社Yに雇用された後その関連会社(本件訴訟係属後Yに吸収合併)に転籍し、Y関連会社の商品振替伝票の整理、集計や備品の出荷管理等の総務を担当していたXが、次長Aに対し馬鹿呼ばわりしたこと、A次長宛荷物を無断で開封しないようにとの次長の業務上の命令を無視し、そのつど注意されていたにもかかわらずこれを繰り返し、部長が注意書を交付した際にはその眼前で破棄し、これに従わない態度を明示したほか、職場の上司宛の電話や他の従業員に電話で、何の脈絡もなく次長が多額の借金をし、金銭に困っているかのように言いふらす一方、従業員や常務に対し、当時発生した強盗事件の犯人がY本社内におりこれをXが知っているかのように言いふらし、B副社長等から言動を慎むように注意されたにもかかわらず、かえって次長を名指しで上記強盗事件の容疑者扱いとし、C部長が事実関係を隠匿し証人的立場にあるXを威圧して口封じを図る等の違法行為を行っているとしてC部長を威嚇するような趣旨の警告書を発し、これを社内の枢要な地位にある常務等に送付したことから、就業規則の規定に基づき、上司当に対し暴言をはき、業務命令違反等を繰り返し、再三の注意にもかかわらず改善されなかったこと、とくにA次長に対するいわれのない刑事事件に関する中傷は同次長の名誉を毀損するだけでなく重大な職場秩序、規律違反にあたるとして、懲戒解雇されたところ、XがYに対し、本件解雇は就業規則違反や業務命令違反事実がまったくないのになされた違法、無効なものであると主張して、雇用契約上の地位確認を請求したケースの控訴審で、Xの行為はYの職場内の秩序を乱す重大な行為であり、就業規則所定の懲戒解雇事由に該当するから、本件懲戒解雇は理由があり、かつ相当であるとの理由でXの請求を棄却した原審の判断が相当であるとして、Xの控訴が棄却された事例。
参照法条 労働基準法89条9号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 業務命令違反
裁判年月日 2002年6月27日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 平成14年 (ネ) 1149 
裁判結果 控訴棄却
出典 労経速報1811号21頁
審級関係 一審/07903/東京地/平14. 1.18/平成12年(ワ)24049号
評釈論文
判決理由 〔業務命令違反〕
 Y株式会社は、控訴人に対し、平成一二年六月二二日付け懲戒解雇通知書により、就業規則八一条二号及び一三号に基づき懲戒解雇をするとの意思表示をした。同通知書には、控訴人が以前から上司等に対し暴言を吐き、業務命令違反等を繰り返し、再三の注意指導にもかかわらず改善されなかったこと、特に上司A次長に対するいわれのない刑事事件に関する中傷は同次長の名誉を毀損するだけでなく重大な職場秩序、規律違反に当たる旨が記載されていた。
 本件は、控訴人が、被控訴人に対し、ねつ造された「業務命令違反」により懲戒解雇が行われたもので、上記解雇は無効であると主張し、同解雇の無効の確認を求めた事案である。
 原審は、控訴人の本訴請求を棄却したので、控訴人がこれを不服として控訴をした。〔中略〕
 当裁判所は、控訴人の本訴請求は、理由がなく、棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり補正し、次項の判断を追加するほか、原判決の理由説示と同じであるから、ここにこれを引用する。