全 情 報

ID番号 09041
事件名 休業命令無効確認及び休業期間の給与支払い請求事件
いわゆる事件名 I社事件
争点 休職命令と解雇の有効性が問われた事案(労働者勝訴)
事案概要 (1) 建築物総合維持管理等を目的とする被告Yの従業員である原告Xは、脳梗塞を発症し入院した後、退院して仕事に復帰できる状態であったにもかかわらず休職命令を発せられて不当に就業を拒否され、その後不当に解雇されたと主張して、〈1〉休職命令の無効確認、〈2〉解雇権の濫用で無効な解雇であるとして労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、〈3〉休職中に得られなかった分の未払賃金、〈4〉解雇により就業できなかった分の未払賃金の支払を求め提訴したもの。
(2) 静岡地裁沼津支部は、Xにつき休職事由が消滅していたとして、Xの地位確認請求を認容し、未払賃金請求も一部認容した。
参照法条 労働契約法16条
体系項目 休職/休職の終了・満了/休職の終了・満了
休職/傷病休職/傷病休職
裁判年月日 2015年3月13日
裁判所名 静岡地裁沼津支部
裁判形式 判決
事件番号 平成25年(ワ)34号
裁判結果 一部認容、一部棄却
出典 労働判例1119号24頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 〔休職/休職の終了・満了/休職の終了・満了〕
〔休職/傷病休職/傷病休職〕
〔解雇(民事)/解雇権の濫用/解雇権の濫用〕
地位確認請求について
(1) 本件休職命令について
(中略)Yが脳梗塞を発症したXに対して平成24年9月26日に発令された本件休職命令は、就業規則第29条6号に該当する休職事由が認められるが、平成25年4月11日にはXの身体機能が回復し、就労可能であったことなどから、休職事由である「特別の事情」が解消したことになる。
(2) 本件解雇について
 Xは、同月11日にE病院で行われた検査の結果、身体機能が回復していて就労可能であったと認められ、また、その後に行われた鑑定によっても、Xの後遺症状が極めて軽微であって、Xを作業に復帰させることが相当でないという積極的な根拠を見いだせないとの結果であったことなどを考慮すると、Xは、同月11日ころには就労可能なほどに身体機能が回復していたと認められるから、本件解雇がなされた同年4月25日には就業規則で規定する「身体または精神の障害により業務に耐えられないと認められたとき。」に該当する事由はなかったというべきである。(中略)本件解雇は合理的な理由に基づくものとは認められず、社会的相当性を欠くものとして無効であると言わざるを得ない。
〔休職-休職期間中の賃金(休職と賃金)-休職期間中の賃金(休職と賃金)〕
〔賃金(民事)-賃金請求権の発生-無効な解雇と賃金請求権〕
 Xは、平成25年4月11日には身体機能が回復して休職事由が消滅していたところ、本件解雇は解雇権濫用により無効であるから、Yは、Xに対し、同年4月12日から判決確定の日まで、毎月11日限り、24万8400円及びこれらに対するそれぞれ支払期日の翌日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金を支払うべき義務があることになる。