全 情 報

ID番号 09047
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 大和証券・日の出証券事件
争点 転籍合意の有効性等が問われた事案(労働者敗訴)
事案概要 (1) 有価証券の売買、金融商品の取引及びその媒介等を主たる事業とする被告Y1から被告Y2に出向して同社で営業業務に従事していたXが、Y2への転籍同意書に署名押印したが転籍の合意は成立していない又は無効であるなどとして、Y1に対し、労働契約に基づき、労働者たる権利を有する地位にあることの確認及び転籍後の平成25年4月以降の賃金の支払を求めるとともに、Y2に出向した後、上司から様々な嫌がらせを受けて精神的損害を被ったが、これらの行為は、Yらが共謀して行ったものであるとして、共同不法行為に基づき、Y1及びY2に対し、連帯して、慰謝料200万円及び遅延損害金の支払を求め提訴したもの。
(2) 大阪地裁は、転籍合意は有効であるとしてXの地位確認および賃金請求を棄却した。
参照法条 民法第96条1項
民法719条1項及び2項
体系項目 配転・出向・転籍・派遣/転籍/転籍
労働契約/労働契約上の権利義務/使用者に対する労災以外の損害賠償
裁判年月日 2015年4月24日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成25年(ワ)第3690号
裁判結果 一部却下、一部認容、一部棄却
出典
審級関係
評釈論文 森戸英幸・ジュリスト1484号4~5頁2015年9月
判決理由 〔配転・出向・転籍・派遣‐転籍‐転籍〕
 X、Y1及びY2の三者の間で、本件転籍にかかる合意が有効に成立しており、XとY1との間の労働契約は、平成25年3月31日をもって終了しているから、XのY1に対する労働契約上の権利を有することの確認請求及び平成25年4月以降の賃金の支払を求める請求は、いずれも理由がない。
〔労働契約-労働契約上の権利義務-使用者に対する労災以外の損害賠償〕
 Y2が、旧第二営業部室内にXの席を設けるなどしてXを隔離したこと、約1年にわたり新規顧客開拓業務に専従させ、1日100件訪問するよう指示したこと、Xの営業活動により取引を希望した者の口座開設を拒否したことは、Xに対する嫌がらせであり、不法行為に該当する。(中略)
 Y2は、Y1の了解を得た上で、Xに対する嫌がらせを行っていたものと認めるのが相当である。
(2) そうすると、Y1は、Y2と共同してXに対して嫌がらせを行ったものであり、共同不法行為責任を負う。