全 情 報

ID番号 09232
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 神奈川SR経営労務センター事件
争点 休職期間満了後、自然退職扱いされた職員について休職事由消滅の有無が問われた事案(労働者勝訴)
事案概要 労働保険事務組合である被告Yの従業員であった原告Xらが、X1はうつ状態を、X2は適応障害を発症してそれぞれ休職したところ、休職期間満了日の時点で復職不可と判断され自然退職の扱い(本件各退職扱い)とされたことについて、主位的には、Xらは復職可能であったことから本件各退職扱いは被告の就業規則の要件を満たさず無効であるとして、予備的には、仮にXらが復職可能でなかったとしても、XらとYとの間の従前の経緯に照らし本件各退職扱いは信義則に反し無効であるとして、Yに対し、X1、2ともに、〈1〉労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、〈2〉休職事由の消滅により復職した日以降の未払賃金の支払を求めた事案である。
参照法条 民法1条
労働契約法
体系項目 休職/休職の終了・満了
裁判年月日 2018年5月10日
裁判所名 横浜地裁
裁判形式 判決
事件番号 平成27年(ワ)3964号/平成27年(ワ)4574号
裁判結果 一部却下、一部認容、一部棄却
出典 労働判例1187号39頁
労働経済判例速報2352号29頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 〔休職/休職の終了・満了〕
 「Yにおける業務外の傷病による休職の制度は、業務外の傷病による欠勤が長期間に及んだ場合に、休職を命じ、休職期間中の解雇を猶予して、休職期間内に傷病が回復して就労可能となれば、復職となり、他方で、回復しないまま休職期間が経過すれば、自動的に退職となる制度であ」り、Yの「就業規則第10条1項本文の「休職事由が消滅した」とは、従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復した場合をいい、同項ただし書の「復職できない」とは、休職事由が消滅しなかった場合、すなわち従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復しなかった場合をいうと解され」、「Xらについて、それぞれの本件各退職扱いの時点で従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復していたといえるか否かについて検討する」。
 「Xらは、本件各退職扱いの時点までにいずれも従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復していたということができる。したがって、本件各退職扱いは、就業規則10条1項に違反し、いずれも無効である。」