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ID番号 09314
事件名 療養費用給付等不支給処分取消請求事件
いわゆる事件名 国・大阪中央労基署長(ダイヤモンド株式会社)事件
争点 急性アルコール中毒の業務起因性
事案概要 (1) 本件は、原告らが、大阪中央労働基準監督署長(以下「処分行政庁」という。)に対し、原告らの子であるA(以下「亡A」という。)が、ホストとして勤務していたホストクラブにおいて飲酒による急性アルコール中毒により死亡したのは、勤務先の業務に起因するものであると主張して、労働者災害補償保険法に基づく療養補償給付たる療養の費用(療養費用給付)、遺族補償給付及び葬祭料の各請求をしたところ、処分行政庁は、これらをいずれも支給しない旨の処分をしたことから、被告(国・大阪中央労基署長)に対し、本件各処分の取消しを求める事案である。
(2) 判決は原告の訴えを認め、本件各処分の取消しを命じた。
参照法条 労災補償保険法
体系項目 労災補償・労災保険/業務上・外認定/(2) 業務起因性
裁判年月日 令和1年5月29日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成27年(行ウ)491号
裁判結果 認容
出典 労働判例1220号102頁
裁判所ウェブサイト掲載判例
審級関係 確定
評釈論文 松丸正・民主法律時報557号11~12頁2019年9月
判決理由 〔労災補償・労災保険/業務上・外認定/(2) 業務起因性〕
(1)本件事故当日、本件クラブにおけるホストの接客業務に関連ないし付随してなされた先輩ホストF及びHによる飲酒の強要に対して、事実上飲酒を拒否できない立場にあった亡Aが、多量の飲酒に及び、急性アルコール中毒を発症し、死亡するに至ったと認められ、亡Aの死亡の原因となった急性アルコール中毒は、客観的にみて、本件クラブにおけるホストとしての業務に内在又は通常随伴する危険が現実化したことによるものと評価することができる。したがって、亡Aの業務と急性アルコール中毒発症との間には相当因果関係(業務起因性)があると認めるのが相当である。
(2)確かに、亡AがHらホストから度を超した、からかいの対象とされたことがうかがわれる。しかしながら、そもそも亡Aは、本件クラブにおいて、いわゆるお笑い系ホストとして業務に従事していたこと、本件クラブのホスト間でのLINEのやりとりにおいても、ホスト同士の悪ふざけとうかがわれるやりとりが多く、上記以外に亡Aが特に標的となっているものはみられないこと、本件全証拠を精査しても、F及びHとAとの間に、暴力的で執拗ないじめを行うだけの人間関係や動機の存在は認め難いこと(亡AとHは、以前からの知り合いであり、特に人間関係が悪いという状況はうかがわれない。)、以上の点からすると、FやHが亡Aに対する個人的な恨みや憎しみを抱いていたとは認め難く、被告の主張(亡Aに対する飲酒強要は、極めて私的な人間関係や動機に基づく暴力的で執拗ないじめであり、偶々そこに酒があったために、酒がいじめの手段として用いられたにすぎない旨)は採用できない。