全 情 報

ID番号 09329
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 日本郵便事件
争点 セクハラ、パワハラ
事案概要 (1) 被告会社(日本郵便㈱)に雇用期間社員として勤務していた原告が、〈1〉雇用期間従業員の被告Y1及び正社員の主任の被告Y2(被告Y1と併せて「被告Y1ら」ともいう。)から、労働組合の歓送迎会において、容姿を揶揄されるなどのセクハラ行為を受け、その後、〈2〉被告Y1から、原告が上記〈1〉のセクハラをソーシャルネットワークサービスに投稿したことについてパワハラ行為を受け、さらに、〈3〉課長代理の被告Y3から、上記〈1〉の被告Y1らによるセクハラ行為を否定されたうえ、原告が上記〈1〉のセクハラ行為をソーシャルネットワークサービスに投稿したことに関して一方的に非難されるなどのパワハラ行為を受けたと主張して、上記〈1〉について、慰謝料等を求めるとともに、使用者である被告会社に対し、上記〈1〉ないし〈3〉の被告Y2らの各不法行為に対する使用者責任に基づき連帯して、それぞれ、被告Y2らに対する上記の各請求と同額の支払を求める事案である。
(2) 判決は、本件歓送迎会において、①原告が性的対象となるか尋ねるなどした被告Y1の発言及び原告の容姿を揶揄した被告Y2の発言について共同不法行為として10万円、②被告Y2がした原告の意に反する性的な発言について10万円、③話し合いの席上において原告に身体的危害を加えられる恐れを抱かせ、畏怖させる被告Y1の一連の言動について20万円、の慰謝料を認め、原告の被告Y3及び被告会社に対する請求はいずれも棄却した。
参照法条 民法715条1項本文
体系項目 労基法の基本原則 (民事)/均等待遇/セクシャル・ハラスメント,アカデミック・ハラスメント
労働契約 (民事)/労働契約上の権利義務/ (24) 職場環境調整義務
裁判年月日 令和2年1月20日
裁判所名 徳島地
裁判形式 判決
事件番号 平成29年(ワ)第397号
裁判結果 一部認容、一部棄却
出典 D1-Law.com判例体系
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 〔労基法の基本原則 (民事)/均等待遇/セクシャル・ハラスメント,アカデミック・ハラスメント〕
(1)被告Y1が、原告に聞こえる状態で、被告Y2に対して原告が性的対象となるかを尋ねるなどの発言をしたこと、これを受けた被告Y2が、原告を指して「これはデブ過ぎる」などとその容姿を揶揄するような発言をしたり、被告Y1とのキスを求める発言をしたりしたこと、及び、被告Y2が、原告に対してその意に反する性的な発言を繰り返したことは、いずれも原告の人格権を侵害する違法な行為であるといえる。
 そして、被告Y1らの発言は、同人らが一体となって一連の流れの中でしたものであるから、共同不法行為に当たる。
 以上のとおり、本件歓送迎会において、被告Y1らによる原告に対する違法なセクハラ行為があったと認められる。
〔労働契約 (民事)/労働契約上の権利義務/ (24) 職場環境調整義務〕
(2)喫茶店における話し合いの場で、被告Y1は怒り、テーブルを強く叩き、原告に対して「ええかげんにせえ」、「埋める」と発言した。被告Y1の言動は、自らは記憶にないセクハラ行為を記載した記事をソーシャルネットワークに投稿されたことについて、謝罪を求めようとしたことを契機とするものであったとはいえ、原告をして身体への危害を加えられる危険を抱かせ、畏怖させるに足りる威圧的なものであったといわざるをえず、原告の人格権を侵害する違法な行為に当たるといえる。
(3)本件歓送迎会は、本件労組の組合員が本件労組の組合員のみを対象として、当該組合員の業務時間外に開催した歓送迎会であり、被告会社が当該開催の事実を把握していたなど、被告会社の関与があったといいうる事情は認められない。また、本件歓送迎会の内容を見ても、専ら本件労組の組合員同士の懇親を図ることを目的としたものと窺われ、これと異なる事情は認められない。以上の事情に照らせば、本件歓送迎会が、被告会社の事業の執行行為としてなされたものではないことは明らかであり、当該執行行為と密接な関連を有するものともいえない。したがって、本件歓送迎会の中での被告Y1らの原告に対する発言は、被告会社の「事業の執行について」(民法715条1項本文)なされたものとはいえない。