全 情 報

ID番号 09350
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 バンダイ事件
争点 雇止めの有効性
事案概要 (1) 本件は、被告(株式会社バンダイ)との間で平成18年5月に有期労働契約を締結しその後14回の契約更新をしていた原告が、被告から平成29年12月28日に、平成30年3月31日付けをもって期間満了により雇用契約が終了する旨通知を受けたことに対し、有期労働契約は労働契約法19条1号ないし2号に該当し、被告が原告の更新申込みを拒絶することは客観的合理的理由を欠き社会通念上相当であると認められず、これを承諾したものとみなされるとして、労働契約に基づき、〈1〉労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び〈2〉平成30年4月分以降本判決確定の日までの賃金の支払を求める事案である。
(2) 判決は、雇止めの有効性を認め、原告の請求を棄却した。
参照法条 労働契約法19条
体系項目 解雇 (民事)/14 短期労働契約の更新拒否 (雇止め)
裁判年月日 令和2年3月6日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成30年(ワ)19737号
裁判結果 棄却
出典 労働経済判例速報2423号10頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇 (民事)/14 短期労働契約の更新拒否 (雇止め)〕
(1)平成20年の4月1日から6月30日までを除き、更新の際に、担当業務を始めとして、所要の変更事項については変更した上で、雇用期間の定め及び期間満了時点での諸事情を考慮して更新することがあるなどと明示された契約書が更新の度に作成されてきており、更新手続は形骸化しているとはいえない。このような経緯に照らせば、本件雇用契約を終了させることが期間の定めのない契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められるとまではいえず、労働契約法19条1号に該当する事由があったとはいえない。
(2)本件において原告が本件雇用契約の期間満了時に合理的に有すべき契約更新に対する期待は、その具体的内容は、原告雇用の臨時性やその後の環境変化によって原告の当初担当業務が減少し原告雇用の臨時性が前景化する中、その労働条件に内容や分量が見合うような担当業務を被告内に確保することができれば本件雇用契約は更新される、という内容のものであったとみることができる。結局、本件において、原告が本件雇用契約の期間満了時に合理的に有すべき契約更新に対する期待は、以上のような具体的内容を有するものとして、労働契約法19条2号の適用上、本件雇用契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認めることができる。
(3)原告が月換算で平均約53時間を要して担当していたサンプル発送業務は複数の事業部等に分かれて移管された上に作業時間も合計約8時間に減少しているから、これを主たる業務として一人で担当してきた原告について、従前の労働条件を維持し、かつ、担当業務を維持したままで、本件雇用契約を継続しなければならないとはいえない。そうすると、被告において、雇止めを回避するための努力をすべきことは格別、本件雇止めの必要性それ自体を否定することはできない。
(4)被告は、平成30年4月1日以降、原告の主な担当業務がなくなることを踏まえ、原告の雇用維持のための有意な措置を複数採ったということができる。そうであるにもかかわらず、原告は、被告から提示された措置について真摯に向き合わなかったのであって、そのような状況下で被告に更なる措置を講ずべきであったとまではいえないから、被告は、雇止め回避の努力を尽くしたとみることができる。
(5)原告の雇用維持のため複数の措置に取り組んできたのであり、平成29年11月30日にも改めて状況を説明した上で原告の雇用維持のための措置を複数提示して原告に検討の機会を与えた経過が存する。これらからしても、被告の原告に対する本件雇止めの説明が不十分とみることはできず、本件雇止めの手続の相当性を肯認することができる。