全 情 報

ID番号 09380
事件名 賃金等請求事件
いわゆる事件名 ブレイントレジャー事件
争点 業務委託契約を締結した者の労働者性
事案概要 (1) 原告は、平成27年7月15日、被告(株式会社ブレイントレジャー)との間で労働契約を締結し、ホテルのフロント係として被告の指定する勤務シフトに従って、午前11時から翌日の午前11時までを基本的な勤務時間とし業務に従事していた。被告は、平成28年7月頃、社会保険等の加入を行うこととなり、原告を含む従業員にその旨を説明したところ、原告を含む複数の従が、業員被告に対し、給与から社会保険料の労働者負担分が源泉徴収されるなどの結果、手取り給与額が減少することに難色を示したため、フリーランス契約」を選択することによって、手取りの報酬額が減少することを避けられる旨を伝えた結果、原告は、業務委託契約書に署名押印を行ない、被告との間で業務委託契約を締結したが、その後、平成28年7月1日から平成30年6月29日までの間の労務提供分につき、原告は、労基法上の労働者に該当するとして労基法37条1項所定の割増賃金等の支払い及び労基法114条に基づく付加金の支払を求める事案である。
(2) 判決は、原告は労基法上の「労働者」に該当するとして、被告に割増賃金及び付加金の支払を命じた。
参照法条 労働基準法9条
体系項目 労基法の基本原則 (民事)/労働者/(2) 委任・請負と労働契約
裁判年月日 令和2年9月3日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 令和1年(ワ)30020号
裁判結果 一部認容、一部棄却
出典 労働判例1240号70頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 〔労基法の基本原則 (民事)/労働者/(2) 委任・請負と労働契約〕
(1)原告は、被告との間で、形式的には業務委託契約を締結しているものの、時間的場所的な拘束を受けている上、その業務時間・内容や遂行方法が、被告との間で労働契約を締結した場合と異なるところがなく、被告の指揮監督の及ぶものであったことからすると、原告は、実質的には、被告の指揮命令下で労務提供を行っていたというべきである。
(2)被告は、原告の要望を受けて、原告との間で業務委託契約を締結し、原告が開業届や青色申告承認申請書を提出していることから、原告が労働者ではない旨を主張する。
 確かに、原告は、開業届及び青色申告承認申請書を提出しており、それ自体は、原告が労働者であることと相容れないものである上、本件業務委託契約書への署名押印は、原告が自発的に署名押印を行ったものであって、被告の意向を受けてやむを得ずに行ったものとはいえない。
 しかしながら、原告は、業務委託契約の締結にあたり、被告から「労働者」に該当しなくなる結果、労基法上の割増賃金の支払いを求めることができなくなるなど、原告にとって不利益となる点につき説明を受けた上で、本件業務委託契約書に署名を行ったものではなく、また、上記(1)に説示の内容を踏まえると、原告は、被告からの指揮命令下において労務を提供していたということができることからすると、被告の指摘する事情は、原告が「労働者」であるとの評価を妨げるものとはいえない。