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ID番号 10032
事件名 労働基準法違反被告事件
いわゆる事件名 長浜トルコ事件
争点
事案概要  トルコ風呂経営者等が保証金制度を設け労働契約の不履行等について損害賠償額を予定する契約をなした等として労基法違反で起訴された事例(有罪)。
参照法条 労働基準法16条
労働基準法119条1号
体系項目 労働契約(刑事) / 賠償予定の禁止
罰則(刑事) / 罪数
裁判年月日 1971年12月6日
裁判所名 大津地
裁判形式 判決
事件番号 昭和44年 (わ) 293 
裁判結果 有罪
出典
審級関係
評釈論文
判決理由 〔罰則-罪数〕
 労働基準法第一六条は使用者は労働契約の不履行につき違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならないとして、労働者の債務不履行、不法行為につき、賠償予定を禁止し、このような制度がやゝもすると労働の強制にわたり、そうでなくとも労働者の使用者隷属を招くことを防止する法意であると解するので、保証金罰金制ができたとされる昭和四三年七月以降就職の従業員五名について、夫々の就職時に使用者との間に保証金(損害賠償額予定)、罰金(違約金)の契約を同時にした場合に各従業員毎に、これを一罪とすることは相当であると解する。
〔労働契約-賠償予定の禁止〕
 被告人は、従業員の一覧表記載の各入店の際、同人等が無断欠勤し、あるいは同店の規則に違反した場合等には全額没収する約定のもとに各二万円宛を保証金として預り労働契約の不履行等について損害賠償額を予定する契約をなしたものであり、これは労基法一六条に違反をする。