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ID番号 10042
事件名 地方公務員法違反被告事件
いわゆる事件名 和教組勤評反対闘争
争点
事案概要  和教組の勤評反対闘争に関連して一斉休暇闘争が地公法三七条にいう争議行為にあたるか否かが争われた事例。
参照法条 地方公務員法37条1項
労働基準法39条
体系項目 年休(刑事) / 年休の付与
裁判年月日 1968年3月29日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 昭和38年 (う) 2231 
昭和38年 (う) 2232 
裁判結果 無罪
出典 下級刑集10巻3号254頁/時報521号12頁/タイムズ222号115頁/教職員人事判例5号622頁
審級関係 一審/和歌山地/昭38.10.25/昭和33年(わ)226号
評釈論文
判決理由 〔年休-年休の付与〕
 ここにいわゆる争議行為とは、固より職員の個別的労務放棄は含まれないが、職員の団体が、その主張を貫くため、当局の管理意思に反し、組織的、統一的、集団行動として行う労務の不提供等であって、その結果、当該地方公共団体の業務の正常な運営を阻害するものと解する。ところで本件一斉休暇が原判決説示のとおり、和教組々合員が、県教育委員会の勤評実施に反対し、その規則の廃止を要求することを目的として、校長の承認を得ないで年次有給休暇届を提出して、全員一斉に職場を放棄して、県下各地で開かれた地公法四六条による措置要求の為の集会に参加するというものであって、それは、当局の管理意思に反して行われるものであることからみても、当局が職員の労働力を管理支配していることを前提とする休暇の概念とは本質的に相容れないものであり、而も、その結果、公立小・中学校の業務の正常な運営を阻害することは疑いを容れないところである。したがって、年次有給休暇がいわゆる形成権であるか、請求権であるかに拘わらず、本件一斉休暇は法律上認められた年次有給休暇の請求としての取扱いを受けることはできず、これを争議行為として評価すべきものである。