全 情 報

ID番号 10076
事件名 労働基準法違反被告事件
いわゆる事件名 カフェー「ペペルモコ」事件
争点
事案概要  一八歳未満の者を使用することが許されない場合においても、労働基準法五七条一項の戸籍証明書等備付義務はあるとした事例。
参照法条 労働基準法57条1項
労働基準法120条1号
体系項目 年少者(刑事) / 年少者の証明書
裁判年月日 1963年11月29日
裁判所名 京都家
裁判形式 判決
事件番号
裁判結果 有罪(懲役3か月・罰金5,000円)
出典 家裁月報16巻4号202頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔年少者-年少者の証明書〕
 同年四月二七日から同年六月二四日までの間、前記カフエー店において前記一八歳未満の○井○子を使用しながら、その間同所に同女の年齢を証明する戸籍証明書を備え付けなかつた。
ものである。
 (中略)
 但し判示第一の罪について犯情懲役刑の執行を猶予するのを相当と認め刑法第二五条により本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予すべきものとし、なお右罰金刑については刑法第一八条第一項により罰金を完納することができないときは金五百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置すべきものとする。弁護人は判示第二の罪につき一八歳未満の者を使用することが許されない場合にこれを使用したときは、労働基準法第五七条第一項所定の戸籍証明書の事業場備付義務はないものと解すべき旨主張する。しかし同法条所定の戸籍証明書の備付義務は、使用者が一八歳未満の者を使用する場合の年齢調査義務を前提とするものであり、かつ行政官庁の監督上の必要に出たものであつて、調査の結果使用すべからざる者であることが判明してもなお敢て使用する場合には、右備付義務違反に問われることがあつても已むを得ないものといわなければならず、また使用者が被使用者の一八歳未満であることを察知しながら、故らに右戸籍証明書による年令確認を怠るばかりでなく、これによつて行政監督による労働基準法違反の摘発を困難ならしめることを正当とする理由はない。