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ID番号 10190
事件名 職業安定法労働基準法違反被告事件
いわゆる事件名 松岡豊造事件
争点
事案概要  雇用関係が公序良俗違反の故に無効とされても労基法六条違反が成立するか否かが争われた事例。
参照法条 労働基準法6条
労働基準法118条
体系項目 労基法総則(刑事) / 中間搾取
罰則(刑事) / 併合罪等
裁判年月日 1952年9月1日
裁判所名 広島高松江支
裁判形式 判決
事件番号 昭和27年 (う) 10 
裁判結果 破棄自判・有罪(懲役1年)
出典 高裁刑集5巻11号1808頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労基法総則-中間搾取〕
〔罰則-併合罪等〕
 第一の二について。職業安定法第六三条第二号は同号所定の目的で職業紹介を行つた者を処罰する旨規定し、その職業紹介とは同法第五条の定義に従うべきは明かである。而して右第五条の職業紹介の重要なる一要素は求人者と求職者との間における雇用関係の成立であり、これを本件について考えてみるに各業者と婦女との間に雇用関係の成立ありと目せられること原判決説示の通り(弁護人の主張に対する判断一、雇用関係の有無について)であるからここにこれを引用する。更に右第六三条第二号にいわゆる職業紹介即ちその一要素をなす雇用関係は同条の立法精神に照し私法上有効なる雇用関係たると民法第九〇条に違反するがために無効と目せられる雇用関係たるとを問わないものと解するを相当とする。されば被告人の本件所為を職業安定法第六三条第二号に問擬した原判決には何等違法のかどはなくこの点に関する弁護人の論旨はとるを得ない。
 第一の三について。業者と接客婦等との間に雇用関係の成立ありと目されること前段説示の通りであり、被告人において婦女を接客婦等として雇用関係の成立をあつ旋した以上労働基準法第六条に該当することは明かであり、又同条は単に労働者からの搾取を禁じたにとどまらず広く一般に中間搾取を禁じたものであつて雇主からの利益取得をも禁止する趣旨なること同条の文理上疑をはさむ余地なく、労働基準法第六条にいわゆる業として他人の就業に介入して利益を得ることも職業安定法第六三条第二号にいわゆる職業紹介を行うことも他人の就業に介入すると言う基本的事実関係は両者共通であるからたとい労働基準法第六条には右の外にこれによつて利益を得ると言う別個の構成要件が加わつておるとしても両所為を目して一所為数法の関係なしと言うを得ない。