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ID番号 10333
事件名 労基法違反事件
いわゆる事件名
争点
事案概要  年少者に対する危険有害業務違反の罪(労基法六三条、一一九条)と、業務上過失傷害の罪(刑法二二一条)との関係が問題とされた事例。
参照法条 労働基準法62条(旧63条)
労働基準法119条
刑法221条
体系項目 年少者(刑事) / 未成年者の危険有害業務
罰則(刑事) / 併合罪等
裁判年月日 1948年3月22日
裁判所名 千葉地
裁判形式 判決
事件番号
裁判結果
出典
審級関係
評釈論文
判決理由 〔年少者-未成年者の危険有害業務〕
〔罰則-併合罪等〕
 被告は昭和二十五年七月二十七日午後一時過頃工場において、女子労働者たるA(昭和八年七月三十日生)が満十八才に満たないものであることを知りながら同女を爆発性の煙火材料たる火薬を調合する業務に就かせたばかりでなく、かかる業務をするにあたつては火薬の爆発する危険が大きいので、使用者として十分その取扱いに注意し熟練者をして作業させるか、又は自ら直接指導して作業し、もつて事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるにかかわらず被告人はこれを怠り未熟練の前記Aをして右業務に就かせたため同女の調合していた火薬を爆発するにいたらしめ、よつて同女に全治約六週間を要する顔面火傷(視力減退)、右手首切断にいたる爆創等の傷害を、なおその場にいたBに全治三〇日間を要する顔面火傷(視力減退)右頚部爆創等の傷害を同じくCに対し全治約一〇日間を要する右前腰火傷、結膜炎等の傷害をそれぞれ負わせたものである。
 (適条)
 被告人の判示所為中、労働基準法違反事件は、同法第一一九条第一号、第六三条第二項罰金等臨時措置法第四条に、業務上過失傷害の点は刑法第二一一条前段罰金等臨時措置法第三条に該当するところ一個の行為で数個の罪名に触れる場合なので、刑法第五四条第一項前段第一〇条により最も重いと認められるAに対する業務上過失傷害罪の刑に従い所定刑中禁錮刑を選ぶ。