全 情 報

ID番号 10558
事件名 労働基準法違反被告事件
いわゆる事件名 金属回収業者事件
争点
事案概要  年少者を危険有害業務に従事させたとして罰金刑が言い渡された事例。
参照法条 労働基準法63条
労働基準法119条1号
女子年少者労働基準規則8条19号
体系項目 年少者(刑事) / 未成年者の危険有害業務
裁判年月日 1964年9月25日
裁判所名 福岡家
裁判形式 判決
事件番号 昭和39年 (少イ) 14 
裁判結果 有罪(罰金3,000円)
出典 家裁月報17巻5号128頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔年少者-未成年者の危険有害業務〕
 猶被告人両名は、本件被害者Aは、切断機の後方で製品である切断鋼板および鉄屑を鉄棒によつて掻き出し、加工製品と前示切断屑を整理するにすぎない極めて危険性の少い業務に従事していたものであるから、前示労働基準規則第八条第一九号にいう「鋼板加工の業務」にはあたらない旨主張するので、この点について考えてみる。
 すなわち、前示第一九号と同旨の同条第一〇号および第二五号には特に補助作業の業務について除外する旨の明文があるのに拘らず前示第一九号に関しては右除外例に関する規定がないのであるから、補助作業についてもこれが包含されるものと解するを相当とするのみならず、〔中略〕本件切断機による鋼板加工業務は、切断機前部において刃部に切断鋼材を作用せしめる主たる労働者と、切断機後部において右切断加工された製品鋼材および加工工程途上に生じた鉄屑を鉄棒により掻き出し整理する補助作業に従事する労働者とが必要とされ、これらの労働者は相互緊密な連絡のもとに作業するのでなければ加工製品が切断機前方に反発飛散し不測の危害を及ぼす危険性の存在を窺知するに十分である。してみれば前示第一九号にいう「鋼板加工の業務」は、本件補助的業務を含む全工程を指称しているものといわねばならず判示のような年少者の就労は禁止されていることが明らかであるから、被告人等の論旨は、いずれも採用の限りでない。