講師:水町 勇一郎 東京大学社会科学研究所教授
◎最近の労働判例
直近の動向(おおむね直近1年間の動き)に焦点を当て、重要な判例・裁判例を取り上げ解説します。
本年度は、
(1)大学の専任講師が、有期労働契約の通算契約期間が5年を超えたことによる無期労働契約の成立に
ついて、 無期契約転換権発生の特例に該当するか否かについて争われた羽衣学園事件(大阪高判
令和5・1・18)
(2)営業職員の賃金から携帯電話使用料、販促物品代等の諸費用が控除することが労基法24条1項に
違反し許されないとして争われた住友生命事件(京都地判 令和5・1・26)
(3)定年後再雇用の嘱託職員への期末・勤勉手当、扶養手当の不支給、年末年始休暇・夏季休暇の不付
与の合理性について争われた社会福祉法人紫雲会事件(宇都宮地判 令和5・2・8)
(4)賃金総額から基本給等を差し引いた額を割増賃金として支給する給与体系の労基法37条違反性につ
いて争われた熊本総合運輸事件(最二小判 令和5・3・10)
を取り上げ、問題となった法的論点の一般的な解説をも含め、これらの判例・裁判例の意味するところを
掘り下げつつ、できるだけ分かりやすく解説します。
◎最近の労働立法
最近成立した労働関係法や省令改正などの中から、企業の人事労務管理を考える上で重要なものを
いくつか取り上げ、そのポイントをわかりやすく解説します。
本年度は、
(1)特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(いわゆるフリーランス保護法)
(2)労基法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部改正省令
(無期転換ルールおよび労働契約関係の明確化、裁量労働制等)
(3)時間外労働の上限規制の適用猶予期間終了後の取扱い(建設・運輸・医師)
(4)厚生労働大臣による労働協約の地域的拡張適用
を取り上げます。
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